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耳の通級指導教室

◎通級による指導は、平成5年度に文部省より制度化され、北九州市でも通級による指導が始まりました。
 通級指導教室は、それぞれのお子さんの在学校から通い、指導を受けるシステムをとっています。指導にかかる時間は、早退・遅刻・欠席の扱いにはならず、通常の学級の授業とみなされます。
なお、お子さんの通級にさいしてはできるだけ保護者の方が付き添います。
◎指導は原則として、1対1の個別指導で一人一人の実体に合わせて行います。
◎児童の課題に応じた、聴能訓練、言語指導、聴力の活用指導を行っています。
◎指導の時間は、児童の実体にあわせて、無理のないように決めていきます。

ことばの衛生10か条(保護者懇談会H8.10.23)
読話について・・・(資料H9.2.26)
運動会練習での配慮(あくしゅH8.5.18)
難聴児の耳の聞こえ方について(あくしゅH9.4.18)

難聴ってどんな障害?(あくしゅH8.5.30)

運動会へむけて(あくしゅH9.5.8)
よりよいコミュニケーションをめざして・・・読話と空文字(あくしゅ8.7.4、H9.3.3)
聴覚障害児の家庭教育(保護者懇談会H9.5.28)
障害理解の学習(あくしゅH8.9.30)
読める子・書ける子にするための指導(聴覚活用夏期研修講座問題提起資料H9.7.23)
日記(あくしゅH8.10.14)
聞くことと話すことの活動を充実したものに(あくしゅH9.10.2)

語いを増やすために(あくしゅH8.11.18)

聴覚障害理解のシュミレーションビデオ(あくしゅH9.11.4)

読みの力を育てよう(あくしゅH8.11.25)

ピュア・カウンセリングとしての懇談会(保護者懇談会H9.11.19)

文つくり(あくしゅH8.12.2)

難聴児にとって、分かりやすい話し方(あくしゅH10.1.20)
語いを増やそう(あくしゅH8.12.9)
3月3日はみみの日(あくしゅH10.3.2)
国語の学習はどうしたらよいか(あくしゅH9.1.20)
心因性の難聴が増えています(あくしゅH10.10.5)

H9.2.3天声人語

 

あくしゅ:耳の通級指導教室だより


 

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運動会練習での配慮(あくしゅH8.5.18)
練習での指示は。顔の見える位置で(後ろや横からでなく)
教師や友達が、わかっているか確認をしてみましょう。
分からない時には、本人が友達に確認できるような配慮があるといいですね。
演技の説明は、動作を入れてして下さい。
周りの様子がわかる配置に
トップのスタートよりも、後ろのスタートの方がわかりやすいです。
一番前や端よりも、中ほどの整列の方が、状況が分かります
合図の笛の音は聞こえないと思います。旗を振って合図をして下さい。

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難聴ってどんな障害?(あくしゅH8.5.30)

 聞こえが悪いというのが難聴ですが、それだけではありません。難聴児の特性を理解しましょう。

ことばについて
声や発音に異常を示すことがあります。また、言葉の記憶・語彙や構文能力・表現・理解の発達に影響を与えます。
思考について
視覚的な特徴に強く引かれる習慣がつくと、言語的思考よりも、視覚的、動作的思考に頼る傾向が強くなります。
社会性について
聞こえにくさ、ことばにようコミュニケーションのとりにくさ、不適切な接し方があると、疎外感を深め、情緒的に不安定になります。日常生活でのルールや常識が習得しにくくなります。様々な困難もありますが、担当の先生や友達の力を借りて乗り越えていくことで、ことばのやり取りが円滑になり、社会生活能力を高めていくと考えられます。

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よりよいコミュニケーションをめざして・・・読話と空文字(あくしゅ8.7.4、H9.3.3)
読話と空文字の体験実習を研修しました。改めて難しさを知らされました。そこでポイントを一度押さえてみましょう。読話とは、聴覚障害者が、話し手の顔や口の動きを見て、音声による言葉も手がかりにして、直感的に言葉を理解すること。
口型、区切り方、速度を聞き手に合わせて考える。
音節1つずつでなく、文の中のキーワードをつかみ、前後関係や文脈、雰囲気などから意味を把握している。
空文字とは、空に文字を書いて知らせる方法。
文字を読む方向にむいてかく。
音声も一緒に入れる。
近くだったら、手の平に書く方がわかりやすい。

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障害理解の学習(あくしゅH8.9.30)

今年度も1学期から、障害理解の学習に各校の要請があって伺っています。たくさんの先生方も参観に見えられ、難聴のお子さんが、各校で大切に育てられているのだと感じました。
学習の内容は以下の通りです。

@ 耳のしくみ:”かたつむり”の形をしたところの外側が障害を受けると、高い音が聞こえにくくなるよ。こんな声に聞こえるよ。
A どこまで聞こえるの?:補聴器をつけても、小さな音や、ささやき声は聞こえないよ。耳をふさいで聞いてみよう。
B 補聴器で音を聞いてみると:周りの音まで聞こえるね。運動場とかで聞くと、聞きづらいね。
C 通級教室で、こんな勉強をしているよ:聞き取って復唱。スピーチトレーナーで発音の練習。日記を書いてやりとり・・・等。
D みんなに助けてほしいのは:ゆっくり、大きく話して。わからない時は教えて。そして笑わないでほしいこと。
お母さんに、お話をしていただいたところもあります。

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日記(あくしゅH8.10.14)

通級教室では、毎回日記の宿題を出しています。書くことが苦手な友達も、頑張って書いています日記を書くと、どんないいことがあるのでしょう。今回は、そんな日記のお話です。

@ 伝えたいこと、聞いてほしいことを、文字で知らせることが出来ますね。嬉しかったこと、びっくりしたこと、怖かったこと、それを書いてみましょう。その時の気持ちを忘れずに書きましょう。
A 新しい言葉が分かります。こんな言葉で言えばいいのかということが分かります。学年がすすんだのにいつまでも幼い言い方をしているお友達はいませんか。友達やお母さんに聞いた新しい言葉を使ってみましょう。
B 書いてみると、誤解していた言葉が分かります。聞こえているのとは違う言葉が見つかります。その時、改めて覚え直すといいですね。「〜に」「〜で」などの使い方も、聞こえていないので、書いて使い方に慣れましょう。

こうして書いてみましょう。

日記を書くのが苦手なお友達は、こうしてみましょう。自分で出来ることからやってみるといいですよ。きっと好きになってくるでよう。

を決めてみましょう。一番書きたいことです。
順番に書いてみましょう。いつ、どこで、何を、だれが、どのようにしたを、まず書きます。「はじめに」「つぎに」「それから」「さいごに」を使うと、書きやすくなりますね。
体験したことを、お母さんとやりとりして、その会話をそのまま、次々に書いても楽しいですよ。その時の様子が次々に子どもの口から飛び出してきたら、それを書きましょう。
表記の間違いは、その都度教えてあげてもいいし、あとで読み直しして、気づくようにしてもいいです。消しゴムで消してしまうよりも、横に書き直す方が、覚えやすいと思います。
題材は、日常生活のことでも何でもいいです。案外日常生活を書くのも難しいことがあります。料理やお手伝い、掃除のこと等も、少し語彙を深めて書いてみましょう。書き慣れることが一番です。
友達への手紙、先生との交換日記を書いている友達がいます。

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語いを増やすために(あくしゅH8.11.18)

言葉をうまく使いこなせるようになるためには、難聴児の場合、その言葉を使うのにふさわしい場面を逃がさずに、身につけたと思えるまで何度でも繰り返してあげることが必要です。前に教えたのに忘れてしまった、というのはまだ使用頻度が足りないのではないかと考えられます。

その年齢の子どもなりのいい表し方が出来るようにするためには、それなりの語彙が必要です。お母さんは何をしているの?とたずねられれば、「ご飯を作っている」というよりは「天ぷらを揚げている」と言った方がイメージが正しく伝わるでしょう。「風が吹く」と言うよりは「そよそよ」とか「びゅうびゅう」とか言った方が様子が分かります。毎日の生活の中でのやりとりを「何がどうした」だけで終わらせずに、動きを細かく表す語彙、様子や気持を表す語彙を増やすようにしなければなりません。
また、いつも目にしていることが、経験として知識として頭に残るように必要な語彙を使って表せるようにすることも大切です。

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読みの力を育てよう(あくしゅH8.11.25)

言葉が少ないお子さんや、読むことに慣れていないお子さんの場合、読む力をつける上で次のことが大切になるでしょう。前回に引き続き「聾学校PTA関係の出版物」から参考になる点をご紹介します。

@ 言った通りに書く、書いたことを読む、読んだ通りに書くなどを十分にさせること。

日記を書くときに「話す」「書く」「読む」活動を組み合わせながら書くこと。

しりとりのような言葉遊びをするときに、読み書きを取り入れて発音と文字を結びつけてあげると良いです。
A 読む必要がある場を作ってあげること。暮らしの中で読む機会を増やしてあげることです。

人の名前・お店の看板など、読めそうなものを読ませます。もう一度見ないですらすらと言えたら誉めてあげます。

伝言板や置き手紙もいいですね。
B 読んで内容が分かったか、分からないかが見えやすい方法を採ること。

「あ」のつく言葉を集めるときにヒントを書いて読ませる。「つめたくて、あまいもの」など。

ドリルなどの問題文も読みの勉強として使えるので、正しく読めているかどうか気にかけてあげ、難しければどこが分からないのか一緒に考えてあげるとよいのです。
読んで分かった経験を重ねることにより、分かろうとする気持ちも生まれ自分でも分からないところを見つけられるようになります。
子どもたちの声を聞き出すには
良い聞き手になるのは、案外難しいものです。つい答えを求めようとして、質問をしてしまいがちです。そうすると、一問一答になってしまい、もう話すのがイヤになってしまうこともあります。そんな時は、子どもと同じ表現を繰り返し、話しの受け手にまわる手もあります。そうすると、自分の言葉が相手にちゃんと伝わったという安心感、信頼感が生まれます。しかも、話の主導権は子どもにまだあるので、次の話を続けてくれるのです。試してみては!

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文つくり(あくしゅH8.12.2)
《日記》
毎日書かさず書いてくる日記には、子どもたちの生活があふれています。学校でのこと、トピックスの他、遊びのことけんかのこと・・・等々。気持を忘れずに書いてもらうことにしています。心情語は教科書には意外と少ないのです。文の訂正はなるべくせずに、良い表現に赤丸をつけていきます。質問をして、文にないことをいろいろお話ししてくれるようにします。○○さん言葉らしい表現が出てきたら、すかさずとりあげて、つけ加えて書きます。頑張って書いてきた日記ですから、満足できるようにしっかり見てあげたいと思います。題をつけたり、順序良く、段落や句読点に気をつけて書くことも、きまりとして教えます。
《今日の学習について書く》
順に思い出して書きます。順を表す言葉を使います。おもしろかったことを考えて書きます。
《4コマまんが》
日常生活の流れの4コマを、順に並べ、話作りをします。会話ふうに書いてもいいし、自由です。その子らしい表現が次々に出てくるので楽しみです。主述を確かめて、〜が〜にをつけ加えます。助詞が抜けているところは、一緒に考えます。絵を手がかりに、知らない語彙も覚えられます。どの子も好きな課題です。
《お面やペープサートを使って》
動作や動きが入るので、いちだんと盛り上がります。お話が頭に入っている場合は、すっかりなりきってセリフを言います。あらすじを一文ずつ書きながらコマ送りに進めていきます。自分で書きたがるのも、主人公になりきっているからでしょう。話をつくる場合にも、つくった文を覚えて、自分から黒板にせっせと書き続けていく姿が見られます。読み返す声まで大きく弾みます。
《遊びながら》
子どもらしい言葉や動きが見られます。生活科で造ったおもちゃやどんぐりごま、みんなと遊んでいるレース鉛筆やおまじない消しゴム持ってきて見せてくれます。いいねと一緒に遊びながら、つくり方や遊び方を文にします。もう一生懸命説明してくれるのです。先生も楽しみなのです、これが。

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語いを増やそう(あくしゅH8.12.9)

耳からの情報が限られているために、日常何気なく使っている言葉が意外と分からないことがあります。それを目から補っていく必要があるわけです。

《教科の学習から》
国語の本読みの時、いくつか聞いてみます。知らない言葉は挿し絵を手がかりにしたり、動作化したりして説明します。絵辞典で調べることもあります。やさしい言葉に直して、本に書き入れることもあります。
《読書》
本好きな子どもは、目から情報や語いを習得していきます。2学期に100冊読破したお友達が出ました。いつも何冊も借りていきます。
《プリント学習》
同音異義語、動作語等、状況絵の入ったプリントで学習しています。選んだり考えたりして分かった言葉は絵だけで言えたり書いたり出来るように練習しています。はじめて聞いたような言葉を別に集めて、「ことばの実」としてため、くり返し練習します。
《日常生活の中で使う》
本当に分かったと言えるのは、使えるようになることですね。買い物の中で、料理の中で、日常動作の中で、気をつけてレベルの高い言葉を遣っていく必要があります。中学年向きには「はじめてのことばじてん」の中にまとめられた日常語いが参考になりそうです。一緒にいる時間の長いお母さんたちの言葉かけの見せどころ(聞かせどころ)でしょう。

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国語の学習はどうしたらよいか(あくしゅH9.1.20)

@

文字で書かれたものに目を触れさせる機会を多く作ってあげましょう。「手をあらってから食べてね」というような、話してすむようなことでも書いて伝えると、読むことが生きた学習になります。

A

語彙を拡充するようにしましょう。新出語句や難語句だけを思い浮かべがちですが、同年齢の子どもたちが理解しているだろうと考えられる言葉の理解や、同じ語句でも使われている文脈によって意味が異なることに気づかせる扱いを大切にしたいですね。語彙の中には、一般の生活の中でよく使われ、家庭でも、多く扱っていただきたいものがあります。
 書き言葉の中に頻繁に使用されるものも増えてきます。使い慣れさせるために短文作りをしましよう。例を示したり、一緒に作ってあげましょう。覚えるくらいに何度も読ませることが大切。

B

経験の不足を補いましょう。雑学が不足すると読み取りが十分できません。興味を持たせるために、一緒に図鑑を調べたり、実際に経験をしましょう。経験や知識の不足を補い、語彙の拡充に確実に結びついていくことでしょう。

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H9.2.6天声人語
障害者とは、周りの助けを必要とする人、とは誰もが考えがちなことだ。だが逆に、人を率いて企業を経営する障害者もいる。そんな人たちと接すると、世の常識の一面性に気づく▲ローマの観光はスペイン広場に始まる、といわれる。その広場を見下ろす五つ星ホテルの社長ロベルト・ウィルトさんは耳が全く聞こえない。46歳。イタリア語、英語、ドイツ語を相手の唇で理解する。世界を巡り、こんど三度目の日本を訪れた▲イタリアでろう学校、ホテル専門学校に通った。米国に渡り、語学、空調技術、ホテル経営を習得する。ハワイやフランスでも学んだ。代々がホテル経営の家庭に生まれた。その幸運はあっても、並外れた努力が加わらなければ、今の仕事がこなせるはずはない▲「目の見えない人は鼻で世界を見ていると私は信じる。私は三つの目で相手の唇をよむんだよ」とウィルトさんはいう。日本の印象は?「障害者を見かけないね。外に出にくいのかな」。障害のある経営者に呼びかけ欧州規模の団体を、近く旗揚げする▲さてわが日本には視力障害の経営者グループが、18年も前からできている。日本盲人経営クラブ。会長の鈴木克己さんは都内で、従業員400人の医療機器会社を営む。59歳。四十代で視力をすっかり失った▲建築事務所を経営し、自分で設計図を引く会員もいる。指先を頼りに手芸用の細い針金で、設計図を組み、紙に置く。それをコピーすれば出来上がり。こんな工夫を情報交換する。鈴木さん流の経営術もある。部下に自分のすべてをさらけ出す。小遣い帳から何から何まで。でなければ、手形の処理も任せられない▲「障害者は人の助けがなければ生きていけない。だから人の使い方がうまくなる。つまり経営者に向いていると思うんです。」と鈴木さん。なるほど。

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読話について・・・(資料H9.2.26)

読話とは

口の動きから話を読みとること
読話が必要になる場合
・聴力の損失が大きく、補聴器でことばの受容をかばいきれない場合。
・聴力障害のレベルを問わず、話し手から送られる言葉の情報をより正確に受容しようとする場合。
読話の特徴
日本語の音は100音ほどありますが、外から口の形・動きを見ると、よく似ているものが多くあります。
しかし、会話は話題をもって進行しますから、話の前後の脈略から話の内容をつかむことが可能になることがあります。
読話しやすい条件

<話し手>
・寛容な気持ちで話す。
・聞き手が注意をそがれる状況を作らない。明るさ・距離・服装など(暗い・遠い・口に意識が行かない)
・話の始めに聞き手の注意を引く
・ややゆっくりめで、はっきりと自然に話す。(よく知らない低学年の子に話すように)
・話題を教える。筆記・空書
・ヒントの出し方を工夫する。
・表情を豊かに、ジェスチャーも交えながら話す。
・文を整える。
・文の終わりをはっきりさせる。
・言葉の使い方を工夫する。(2回繰り返して分からないときは簡単な言葉又は手に書く)

<聞き手>
・ゆったりとした気持ちで相手を見る。
・相手の顔が見やすい位置に自分をおく。
・口元だけでなく、顔の表情や手や体の動きなどにも注意する。
・周囲の人に、自分にとって読話しやすい条件を教える。

読話がうまくなるには
☆相手の話を最後まで聞く習慣をつける。
☆ことばや話の内容を類推できる。
☆韻律情報と言葉を結び付けられる。
☆語彙が豊富である。

<環 境>
・口元や表情が見えるようね明るい場所で話す。
・お互いの口元や表情が見える距離で話す。
・目や耳に入る雑音を避ける。
・対面で話す。
・話し手との親密度。
・体調を整える。

<話の内容>
・聞き手が理解できる語を用いる。
・話題の確認をする。
・話題についての親密度。
・主題をはっきりさせる。
・口の動きや形の分かりやすい言葉を使う。

読話をスムーズに進めるためのポイント
聞こえる人は、相手が難聴だと分かっていても、ついそのことを忘れて、早口になったりしてしまうものです。耳が遠いことはその度毎に繰り返しはっきり伝えるようにしましょう。また、復唱しながら会話を進めることは、聞こえる人にとっても正しく伝わったが確認ができるので助かります。難聴の方と会話をする際、聞こえる人も不安なものです。聞こえる人も安心できるように、下記のポイントを積極的に使うようにしましょう。
◆耳が遠いことを相手に伝えましょう
◆読話を行いやすい話し方を相手に伝えよう
・読話のスピードや区切り方
・口の動きの見やすさ(逆行や気より距離、角度)
◆具体的な尋ね方をしよう
×:どうですか?
○:だれが?いつ?どこで?
◆復唱するなどして、読み取れなかったところだけ言い直してもらおう
◆相手の表情や身振りを大切にしよう
◆普段からのお付き合いを大切にしょう
◆筆談や手話など、他の方法も積極的に取り入れよう

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難聴児の耳の聞こえ方について(あくしゅH9.4.18)
学校訪問に、補聴器を持っていき、実際に聞こえ方を体験していただきました。
・とても大きく聞こえる。紙のこすれる音、物音等びひく。
・周りの音をよく拾う。廊下の声、足音まで、騒音となる。
感音声の難聴なので、一生治らない。音はひずんで聞こえる。
・高音域でパワーが小さい サ行・カ行音は聞こえにくい。
・カがア、キャなどと聞こえるため、内容を聞きづらい。
オージオグラムを見て、補聴器をつけても40〜50デシベルまでしかあげることが出来ません。(健聴者なら0デシベル)
・私たちが普通に話している声が、やっと聞こえる声なのです。したがって、大きな声でないと分かりません。
・補聴器をつけていれば、みんなと同じように聞こえているはずだと思われがちですが、違うのですねと、みなさん驚かれていました。
ですから、話すときには、4つのことに気をつけてあげましょう。
・口を見せて
・大きな声で
・ゆっくり
・わかりやすく

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運動会へむけて(あくしゅH9.5.8)
 広い運動場や体育館での練習では、マイクを通しても難聴の子どもたちは聞こえにくいことがあります。
そこで、次のような点に配慮が必要となってきます。

練習での指示は、先生の顔の見える位置で・・・
後ろや横からは、分かりにくい。分かっているかどうか、できれば、確認をしてみて下さい。

演技の説明は、動作を入れて・・・

周りの様子が分かる配置に・・・
トップのスタートよりも、後ろの方が、また、一番前や端よりも、中ほどの整列の方が、状況が分かります。

笛の合図は、聞こえにくいので、旗を振って下さい。
近くでピストルを鳴らす時は補聴器のスイッチを切って下さい。

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聴覚障害児の家庭教育(保護者懇談会H9.5.28)
今回は、読むことや書くことの大切さについて、考えあいました。自己紹介をまずしながら、子どもさんの様子を出し合いました。今年は、兄弟難聴の家庭や両親難聴の家庭の保護者の方同士の話し合いもでき、情報交換の場となりました。内容をご紹介しますl。

難聴の子と健聴の親だと、先入観がじゃまして、教えても分からないだろうと、難しい言葉を除外してしまいがちになる。難聴の親子だと何でも教え、又、親子のコミュニケーションもうまくいく。発音や文では、周りの支援が、より必要となる。

自分から言っていかない子なので、周りの声かけが有り難い。

発音に注意して読んでいって、こんなにきれいに読めたねと学校の先生から認めてもらえることが、子どもの励みになった。

毎日書くことを目標に、寝る前に日記を書き続けている。本当に楽しい時には長く書けるようになった。

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読める子・書ける子にするための指導(聴覚活用夏期研修講座問題提起資料H9.7.23)
@ 本に手を伸ばす子どもを育てるために
・まず親が読むこと、次に親子で読むこと
・読書意欲は図書館で
A 読みの学習
・作文形式の学習が多く、読みの学習が少ない。
・直接経験を主体とした学習が多い。間接経験を主体とした学習を取り入れる。
絵物語の時期を充分に満たすこと。
 文を読む → 経験の想起 → 話しあう → 読みとる
 絵本 → 絵物語 → ひらがな童話
B 総合的な思考力を培う
・読み取った要素をまとめる総合的な思考が要求される。
・ことばによって二つ以上の事柄を関係づける表現を使う。
  例:ミルクがこぼれたのでふく。  暑いので窓を開けてね。
・立場を変えて一つの事柄を表現する。
  例:たたく−たたかれる
C ことばを増やすとはどんな事か
・語彙の量を増やすこと
・語彙の範囲を広げること
・語句の理解を深くすること
・語句の正しい使い方が出来るようになること
D 信条を読み取る
○情緒の発達は、3ケ月で快と不快、6ケ月で怒り、嫌悪、恐れ、生後1年で、愛情得意感が分化する。5歳頃までに望み、うらやみ、失望、心配、恥ずかしがりが分化してくる。
○国語の教科書1〜3年生には、きれい・かわいい・やさしい・こわい・さびしい・おそろしい・めずらしい・はずかしい・なつかしい・まちどおしい等116の形容詞がのっている。
○情緒を、もっと深め、幅を広め、きめの細かいものにする努力をしていかなければならない。
E 書く意欲
・書く前に話し合いを大切にする。見方を深め広め、内容を豊かに出来る。
・目標を持って書く。旅行記・感想文・はがき
・友達の文を多く読む。多くの文章を読むことが書く力を伸ばす。
F 文の長さは短くして正しく書く。
・日常会話の長さは、7割が4文節。
・国語の本や童話は、小2年で5文節。
・日常生活は3〜5文節を使う。
・長い文は2つのb文に分ける。
G 文章の誤りを少なくする
・文章の暗記が効果的。「日本語という外国語」の学習には、暗記は欠かせない。
・60%は主述関係のあやまり。
・多くの説明を聞くより書かせた方が効果的。
・徹底的に話をする機会を持つ。
・多読に努める。

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聞くことと話すことの活動を充実したものに(あくしゅH9.10.2)
 小学校に入ると、読むことや書くことで学習が進んでいきます。
この学習が大切になってきますが、日本語の基本は、聞くことや話すことの中にたくさんあります。
 聞くことや話すことは、日常の暮らしぶりでずいぶん変わってもきます。次の8つの基本姿勢を振り返ってみましょう。
@
A
B
C
D
E
F
G
いつも補聴器は働いていますか?
子どもの前から
目の高さで話しかけていますか?
子どもの注意が、こちらに向いているときに話していますか?
顔が光を背にしないように話していますか?
話がよく通じなかったと、子どもにがっかりさせないように気をつけていますか?
くりかえし、たくさん話しかけていますか?
目の前のことを、言葉に置き換えてあげていますか?
さて、いくつ○がついたでしょうか?

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聴覚障害理解のシュミレーションビデオ(あくしゅH9.11.4)
 養護教育センターの研修で紹介のあったこのビデオが、好評です。筑波技術短期大学教授の大沼直紀先生が作成されたものを、こころよくダイビングさせていただけました。今、各校の障害理解の学習に役立っています。
 内容は、80歳台、70歳台の高音域、中音域が聞こえなくなった場合と、健聴者の聞こえ方の比較です。6つの場合が想定されています。

@
A
B
C
D
E

音楽(オルゴールの音色)高いので、かなり違います。
交響曲・・・たいこの音が響き、k「うるさ〜い」と子どもたち。
車の通りの多い所での話・・・周りの音が会話を消します。
病院の待合室の呼び出し・・・わかりません。
犬の声・・・大きくてワンワンと単調なので、わかります。
静かな部屋での聞き慣れた言葉・・・これならわかります。
 高齢化社会に向かう中、高い音域が聞こえない難聴は、自分たちの問題でもあります。歪んだ音や言葉の聞き取りの難しさをこのビデオは、如実に体験させてくれます。

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ピュア・カウンセリングとしての懇談会(保護者懇談会H9.11.19)
 お母さんの勉強室

 おかあさんが勉強するということは、講演を聞くこと、講義を聞くことで学んだと思うことが多いようです。
 ですから、親の会の行事の中で、講演会にどんな先生を呼ぶかが大問題であり、役員さんは、このことで苦労するようです。

 親の会に入会している人たちはほとんどの人が、我が子の問題をどう解決しようかと悩んでいるのだと思っています。
 ですから、問題を解決していくためのきっかけになるのではないかと期待して参加します。講演してくれる先生の話の中にヒントがないか考えながら聞いているのだと思います。

 ここで、気になることがあります。
 それは、聞きにきているお母さんたちの、一人一人の子どもの様子を全然分からない講師の先生のお話をどう聞いているかです。内容をどう把えるか、それによってどう我が子への対応に生かしていけるかが心配です。
 人が、一般論を話すのですから、その中から我が子に当てはめて聞くには、何回も、講演会に参加していないと確かに、聞き取れないのでは、ということです。聞き方の難しさがあり、講師の話し方の難しさがあります。

 ある書物で読んだのですが、現在「ピュア・カウンセリング」という言葉があることを知りました。
 カウンセリングとは、特別な訓練を受けた専門家によって、心理的な援助をしてもらう。悩んでいる人の話をよく聞いて、共感してくれるという意味あいでした。
 しかし、「ピュア・カウンセリング」とは、
1.専門家によらない。
2.比較的無償、報酬を求めない。
3.何らかの、共通体験をした者同士
4.オープンな相互関係をもつ者。

 こんな集まりなら、定期的に実施している各教室のお母さんの集いが、まさに「ピュア・カウンセリング」です。
 言葉の先生が集まる機会を作らないから、学習会をやったことがない、という声を聞かされることがありますが、先生を頼らず、本当に、我が子のことを考えるのなら、母親が中心になって、集まりを持つべきです。以前、パンフレットでご紹介した、千葉県の八匝(はっそう)親の会や和歌山市の親の会はよい例です。
 愚痴をこぼしてみることです。そして同じような悩みをもつ母親(時には父親も、そして先生も)同志が動くことです。

 年に1回ぐらいの講演会だけでは効果的ではないのです。定期的に集って話し合ってみて解決しにくい問題点をもって講師から助言してもらう・・・こんな学習会をお勧めします。

行木 富子

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難聴児にとって、分かりやすい話し方(あくしゅH10.1.20)
 難聴学級と通級教室の担当者の研修で、分かりやすい話し方の演習をしました。一人が教師役になり、模擬授業をし、残りは、両耳にウォークマンをして、教師の声が聞こえないようにして、授業を受けてみました。
 「口を見せて、ゆっくり、大きめの声で話す」ことは、よく言われていますが、その外に今回気づいたこととして、



うろうろ歩き回って話されると分かりにくい。
うなづくなど顔を動かして話されると分かりにくい。
板書してから、話す方が分かりやすい。
板書してから、話し始めるまでに、少し間があると分かりやすい。
などがありました。

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3月3日はみみの日(あくしゅH10.3.2)

 どうして、3月3日は、『耳の日』なのでしょうか。「数字の3の形が、耳に似ているから」「3の読みが、みみに通じるから」というだけではないのです。電話の発明で、有名なグラハム・ベルの誕生日(1847年3月3日)を記念したものであるのです。

ベルと難聴者との深いかかわり・・・
 ベルは、耳の聞こえる者も聞こえない者も、一緒にコミュニケーションできることに、一生を通じて、貢献しました。
 16歳の時に、聾学校の教師になり、新しい発音指導の実践を始めています。ベルのお父さんは、音声学者で、発音する時の口の中などの様子を記号化する「視話法」を息子のベルと作りました。ベルは、お母さんも、そして、奥さんも、難聴者でした。そのため、1876年に電話を発明しましたが、ベル自身は、とまどいを感じました。電話の発明が、結果的に、聞こえる側と聞こえない側との決定的な情報収集量の格差を生みだしたからです。しかし、音を電気的に伝える電話の仕組みは、電気補聴器の始まりにつながりました。

音の強度を示す単位は、dB(デシベル)・・・
 また、ベルは、1879年に、聴力計を考案し、周波数毎の音の強度を出せる装置を作りました。これによって、今まで聴力がないと思われてきた人にも、残存する聴力があることが分かったのです。その後、音の強度を示す単位を、ベルの名前をとってデシベルと決めました。

難聴者もテレ(遠隔)・コミュニケーションへ
 ベルが、電話を発明して、100年以上たった現在、電話機の発達やパソコン通信などを通して、高度の難聴者も、テレコミュニケーションが出来るようになりました。ベルもびっくりしていることでしょう。

◎引用・参考文献:大沼直紀著「聴覚サポートガイドあなたの耳は大丈夫?」「教師と親のための補聴器活用ガイド」

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心因性の難聴が増えています(あくしゅH10.10.5 毎日新聞H10.9.7参照)
 福岡市立こども病院では年間数十人の心因性難聴の子が来るといわれ、小学校低学年の子に増えています。原因不明とされていましたが、生活環境を調べると、精神的に追い詰められたストレスに起因していることが分かってきました。
 ある低学年の少女の例です。教師の質問に答えられず、級友に馬鹿にされるようになりました。おとなしく、家では親から「しっかりしなさい」と言われ、学校にも家庭にも居場所を失っていました。「自分を見てほしい」「甘えたい」という心の傷を表すシグナルを出してもいるそうです。類似した症例に「心因性視力低下」、言葉が出ない「心因性失声」などが確認されています。
 幼児まで及ぶ受験レースの重圧や家族間でさえうまく結べなくなった対人関係。心因性難聴について日本耳鼻咽喉科学会の古賀慶二郎参与は「親子もそれが通常の生活と思い込んでいるだけに、原因を見つけにくくしている」と言われています。「音」を拒む小さな体。